はじめに|「元ネタを知る」とホラー映画は何倍も怖くなる

ホラー映画の魅力は、ただ怖いだけではありません。
中には「実際に起きた事件」や「古くから語り継がれる都市伝説」を原案にした作品も多く存在します。
つまり、私たちがスクリーン越しに見ている恐怖の裏側には、現実世界の“真実”が潜んでいるのです。
本記事では、そんな“元ネタ”を知ることでより深く震え上がることができる「知られざる原案ホラー映画5選」を紹介します。
作品ごとの原案・背景・そしてその恐怖の構造を掘り下げていきましょう。
実在事件が原案になったホラー映画

「こんなこと、現実には起こらない」──
そう思いたいところですが、実は名作ホラーの多くが“実在の殺人事件”や“異常犯罪者”から着想を得ています。
ここでは、実際にあった事件をもとに生まれたホラー映画を2本紹介します。
『悪魔のいけにえ』×エド・ゲイン事件

1974年に公開された伝説的スラッシャー映画『悪魔のいけにえ』。
その狂気の殺人鬼レザーフェイスの原案は、実在の猟奇殺人犯エド・ゲインです。
エドは1950年代にアメリカ・ウィスコンシン州で起こした残虐な事件で知られ、墓を掘り返して死体を収集し、皮を剥いで“家具や衣装”に加工していました。
この衝撃的な事件が映画化される際、製作者は「狂気の家庭」「人肉料理」「人間のマスク」という象徴的モチーフとして再構築。
結果、『悪魔のいけにえ』は“実話を超えた悪夢”として世界中にトラウマを残しました。
配信では現在、Prime VideoやHuluなどでも視聴可能です。
note記事でさらに深掘り:【保存版】エド・ゲイン事件完全ガイド──史実・年表・地図・一次資料リンク集
『サイコ』ד皮剥ぎ殺人鬼”の狂気

アルフレッド・ヒッチコック監督の名作『サイコ』も、同じくエド・ゲイン事件から影響を受けています。
母親の遺体を保存し続け、人格を母に同化させていくノーマン・ベイツの異常心理は、ゲインの精神構造をベースにしたもの。
この作品では、血や暴力よりも“狂気の内面描写”が恐怖を生む点が特徴で、以降の心理ホラーの原型ともいえます。
観た後に感じる背筋の寒さこそ、「実在事件由来のリアリティ」なのです。
都市伝説がベースになったホラー映画

古くから語り継がれてきた“都市伝説”もまた、ホラー映画の重要な原案です。
噂話や怪談、ネットで拡散した怪異が映画化されることで、私たちの身近な恐怖として蘇ります。
『キャンディマン』ד鏡の呪い”都市伝説

『キャンディマン』は、鏡の前で名前を5回唱えると“鉤爪の男”が現れるという都市伝説を題材にした作品です。
元ネタとなったのはアメリカで有名な「ブラッディ・メアリー」の呪い伝説。
監督はこの伝説に人種差別や都市貧困など社会的テーマを重ね、単なる怪談を越えた“文化的ホラー”に昇華しました。
2021年版リメイクでは、現代SNS社会での“拡散する恐怖”として再定義されており、現在もPrimeVideoなどで配信中です。
『リング』ד呪いのビデオ”と日本のメディア文化

日本が誇る伝説的ホラー『リング』は、原作・鈴木光司の小説をもとにした作品ですが、その根底には「見た者が死ぬ」「呪いが映像化される」という都市伝説的モチーフがあります。
90年代、日本では“チェーンメール”や“心霊ビデオ”が流行しており、それらの風潮が映画のリアリティを加速させました。
貞子というキャラクターは、「情報と呪いの融合」の象徴。現代SNS時代にも通じる“拡散型ホラー”の原点と言えるでしょう。

呪いのビデオはもう過去の話? いや、今はスマホの画面が“新しい井戸”かもしれないね……。
監督の体験・夢が着想源になった映画

“夢”や“幻覚”といった主観的な体験から生まれたホラーも多く存在します。
現実と悪夢の境界が曖昧になる恐怖は、監督自身のトラウマや夢見を原案にしていることが少なくありません。
『エルム街の悪夢』ד夢の中で死ぬ”実例

ウェス・クレイヴン監督が1984年に生み出した『エルム街の悪夢』は、“夢の中で殺されると現実でも死ぬ”という斬新な設定で世界中を震撼させました。
実はこのアイデアのきっかけは、監督がニュースで見た「アジア系移民の若者が悪夢の中で亡くなった事件」だったといわれています。
夢から逃げられない恐怖、眠ることすら危険という設定は、まさに現代人の不安そのもの。
この“夢由来ホラー”が後の『インセプション』などにも影響を与えたことは有名です。

眠れぬ夜に観る映画ほど怖いものはない。 フレディが枕元に立ってる夢を見たら──もう手遅れさ。
作品の“原案”を知って観るとどう変わる?

ホラー映画の原案を知ると、作品の見方が一変します。
単なる“作り話”ではなく、「実在した人間の狂気」「社会が生んだ闇」「信じられてきた儀式」など、現実との接点を意識できるようになるからです。
特に実話系ホラーや都市伝説ホラーは、知識を持って観ることで恐怖の深度が格段に増します。
つまり“原案を知る”ことは、“恐怖を倍増させるスイッチ”なのです。

現実の闇を覗けば、スクリーンの向こうがもっと鮮明に見える。 でも気をつけな──闇も君を覗き返してくる。
まとめ|現実と虚構が交錯する“ホラーの原点”へ

今回紹介した5つの作品は、いずれも“現実に根ざした恐怖”をベースにしています。
映画はフィクションでありながら、その背景にある真実や信仰、事件、社会問題が観る者の心に爪痕を残す。
それが、ホラー映画というジャンルの奥深さです。
あなたも次にホラーを観るときは、「この物語の原案は何か?」と考えながら観てみてください。
きっと、これまで以上に“ゾクッとする体験”が待っています。
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