叫び声もスプラッターもないのに、心の奥底にこびりつくような怖さ――。
今回は「見終わった後に眠れなくなる」心理的ホラー映画を厳選して10作品ご紹介します。
派手な演出ではなく、じわじわと精神を蝕む恐怖を味わいたい方におすすめのラインナップです。
選定基準|なぜ“心理的ホラー”が怖いのか?

心理的ホラーとは、視覚的なグロテスクさではなく、人間の内面・心理の歪みを通して恐怖を描くジャンルです。観客が自らの想像力で“補完してしまう”余白があるため、観終わった後も不安が消えません。静かな恐怖、狂気への転落、人間の闇――これらが心を深くえぐるのです。
- 現実にありそうな状況や心理を描いている
- 音や静寂、光や構図など演出面での不安感
- ストーリーが観客の解釈を揺さぶる
- 再鑑賞・考察で新たな恐怖が見える
見終わった後に眠れなくなる…心理的ホラー映画10選
ここからは、国内外の傑作ホラーを厳選して紹介します。すべて“観終わった後の余韻が怖い”作品ばかりです。
ミッドサマー(2019/アリ・アスター)

白夜の光に包まれた理想郷で、ゆっくりと狂気が満ちていく。スウェーデンの祝祭を描くカルト的ホラー。太陽の下で展開する恐怖が異常なほど不気味で、「明るいのに怖い」という新感覚を生んだ名作です。
ヘレディタリー/継承(2018/アリ・アスター)

家族の中で起こる“説明できない異変”。遺伝と呪いの境界を描いた心理ホラー。後半に進むほど現実と悪夢の区別がつかなくなり、観る者の心を掴んで離しません。
CURE(キュア)(1997/黒沢清)

催眠によって他人を殺害させるという奇怪な事件。加瀬亮ではなく、役所広司の緊迫感あふれる演技が光ります。静寂と空間演出がもたらす“感染する悪”の恐怖が、日本的心理ホラーの真髄。
イット・カムズ・アット・ナイト(2017/トレイ・エドワード・シュルツ)

世界が終わった後の閉鎖空間で、“信頼”が崩壊していく。ウイルスよりも恐ろしいのは、人間の疑心暗鬼。静けさの中に潜む緊張が、観る者の神経をすり減らします。
セッション9(2001/ブラッド・アンダーソン)

解体作業員たちが訪れた廃精神病院。少しずつ明らかになる過去と“声”。心理的に追い詰められていく恐怖の描き方は、現代でも色褪せません。
ロッジ −白い惨劇−(2019/セヴリン・フィアラ/ヴェロニカ・フランツ)

雪に閉ざされた山荘で起きる、家族と信仰の崩壊。寒さと孤独が心の温度を奪っていくような静かな地獄。極限状態での“精神崩壊”がリアルすぎると話題に。
ノロイ(2005/白石晃士)

モキュメンタリー(偽ドキュメンタリー)形式の日本ホラー。現実と虚構が曖昧になる構成が、観る者の心理をじわじわ侵食します。派手な演出がないからこそ“リアル”が恐ろしい。
アンチクライスト(2009/ラース・フォン・トリアー)

喪失と罪悪感に苛まれる夫婦が、森の奥で狂気に堕ちていく。芸術的でありながら、生理的な不安を掻き立てる映像が印象的。観る人を選ぶが、深層心理へのアプローチは唯一無二。
マザー!(2017/ダーレン・アロノフスキー)

全編が“寓話”として作られた問題作。観客が状況を理解するほどに、主人公の狂気と混乱が伝染してくる。象徴とメタファーの洪水が頭を支配し、観終わった後の不安感が異常に残ります。
残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-(2016/中村義洋)

淡々と語られる“怪異の記録”が、やがて過去の惨劇と繋がる。音も叫びもないのに背筋が凍る。日本独自の“じわ怖”を代表する作品です。
考察ポイント|なぜ心に残るのか?

心理的ホラーは「恐怖の正体を説明しない」ことに本質があります。
観客が“想像してしまう余白”こそが恐怖を増幅させ、眠れない夜を生み出すのです。
理解した瞬間にゾッとする――それが心理ホラーの醍醐味です。
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血が出なくても、心の中で叫び声は響くんだ…。