- 1 『バイオハザードV リトリビューション』とは?基本情報とあらすじ
- 2 圧倒的スケール感!世界を舞台にした“シミュレーション地獄”とは
- 3 アリスの“力を失った戦い”が示すシリーズの転換点
- 4 ジルの洗脳、レインのクローン化…交錯する裏切りと忠誠
- 5 レオン&エイダ初登場!ゲームファン歓喜のキャラ描写
- 6 最凶クリーチャーたちが勢ぞろい!シリーズ屈指のバトルシーン
- 7 謎のクローン少女“ベッキー”がもたらす人間ドラマ
- 8 ウェスカーの裏の顔と、レッドクイーンの恐るべき計画
- 9 『バイオハザードV』がシリーズに残した衝撃とは?
- 10 まとめ:なぜ『バイオハザードV』は記憶に残る傑作なのか
- 11 記憶に残る理由、それは“挑戦”と“進化”
『バイオハザードV リトリビューション』とは?基本情報とあらすじ

2002年に始まった人気実写映画シリーズの第5作となる『バイオハザードV リトリビューション(Resident Evil: Retribution)』は、2012年に日米同時公開されたホラーアクション大作。前作『バイオハザードIV アフターライフ』のラスト直後から物語が続く形で展開し、シリーズのターニングポイントとなる重要な一作です。
本作のタイトル「Retribution」は“報復”や“報い”を意味し、アリスの過去との対峙や、裏切りの連鎖が激しく交錯するストーリー展開を象徴しています。
◆ 基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
邦題 | バイオハザードV リトリビューション |
原題 | Resident Evil: Retribution |
公開日 | 2012年9月14日(日米同時公開) |
監督 | ポール・W・S・アンダーソン |
主演 | ミラ・ジョヴォヴィッチ(アリス役) |
上映形式 | 3D、PG12指定 |
ジャンル | ホラー/アクション/SF |
◆ あらすじ(ネタバレあり注意)
前作ラストの“アルカディア号”での戦闘後、突如としてアンブレラ社の戦闘部隊がアリスたちを急襲。アリスは壮絶な銃撃戦の末、海へと転落し、意識を失う。
目を覚ましたアリスの前には、かつてない“平穏な日常”が広がっていた。夫と娘と暮らす主婦としての生活——だがそれは、アンブレラ社が管理する極秘シミュレーション実験施設「アンブレラ・プライム」で生み出された偽りの現実だった。
施設内には、渋谷・ニューヨーク・モスクワといった都市が忠実に再現されており、そこには無数のアンデッド、強化兵、そしてクローンとして蘇ったかつての仲間や宿敵たちが待ち受けていた。
能力を失ったアリスは、謎のエージェント・エイダ・ウォンや、新たに登場したレオン・S・ケネディらと共に脱出を図る。しかし、洗脳されたジル・バレンタイン、プラーガで強化されたクローンレインらとの死闘が行く手を阻む。
終盤、アリスは驚愕の真実と対峙し、宿敵だったアルバート・ウェスカーと共闘することに。世界は滅亡の淵にあり、アリスには人類最後の希望として、再びその力を呼び覚ます使命が託されるのだった——。
圧倒的スケール感!世界を舞台にした“シミュレーション地獄”とは

『バイオハザードV リトリビューション』が他のシリーズ作品と一線を画している最大の魅力のひとつが、「アンブレラ・プライム」と呼ばれるシミュレーション施設を舞台にした、まるで地獄のような仮想都市の数々です。
この施設は、アンブレラ社が生物兵器の性能テストや戦闘シナリオのシミュレーション実験を行うために建造した、巨大な極秘地下研究施設。なんとその中には、以下のような“世界の都市を模したエリア”が存在します。
◆ 登場するシミュレーション都市
- 東京・渋谷の交差点エリア(日本)
→ かつてT-ウイルスが拡散した原点。静寂から始まる不気味な感染拡大の描写が印象的。 - ニューヨーク・タイムズスクエア(アメリカ)
→ 巨大な処刑マジニ2体とのバトルが繰り広げられる、シリーズ屈指のアクションシーン。 - モスクワ・赤の広場(ロシア)
→ 雪原を舞台に、プラーガ・アンデッドによる軍隊レベルの襲撃。レオンたちの死闘が展開。
◆ なぜ“シミュレーション地獄”なのか?
これらの都市エリアはすべて、本物そっくりに再現された実験環境。住人や街並み、天候までもコントロールされており、突如としてアンデッドや生物兵器が襲来します。アリスたちは「どこに逃げても敵に囲まれる」完全なトラップ空間で戦わされるのです。
また、各エリアに配置された敵は、アンブレラ社が意図的に投入した最強の生物兵器たち。処刑マジニ、巨大リッカー、プラーガ・アンデッドなど、まさに“地獄の再現”と呼ぶにふさわしい構成です。
◆ スケールの大きさがもたらす没入感
映像的にも、都市ごとの雰囲気・建物・光の演出にこだわりがあり、映画というよりはリアルな悪夢のような体験型アトラクション。観る者に「自分がこの場にいたらどう逃げるか」を考えさせる没入感が生まれます。
実際、バイオファンの間では「シリーズ最大のスケール」「ゲームのシナリオをそのまま体験しているよう」といった高評価の声も多く、映画ならではの演出と世界観構築の真骨頂といえるでしょう。
アリスの“力を失った戦い”が示すシリーズの転換点

『バイオハザードV リトリビューション』がシリーズの中でも特異な存在である理由のひとつは、主人公アリスが「超人的な力を失った状態」で戦う物語であることです。
これは、単なるアクションの変化にとどまらず、シリーズの“転換点”を象徴する重要な要素として機能しています。
◆ 超人から“ただの人間”へ──失われたT-ウイルスの力
前作『バイオハザードIV』のラストで、アリスは宿敵ウェスカーによってT-ウイルスを中和され、超人的な身体能力やテレキネシスといった力をすべて失います。
それにより本作では、これまでのような「無双状態」での戦闘ができなくなり、純粋な身体能力と経験だけで敵に立ち向かわなければならない状況に追い込まれます。
その結果、彼女はたびたび劣勢に立たされ、傷つき、苦しみながらも戦い抜く姿を見せることになります。
◆ 人間としてのアリスの「強さ」が浮き彫りに
力を失ったことで、アリスの“人間らしさ”や“母性”が際立つのも本作の特徴です。
クローン少女・ベッキーとの関係を通して、ただの戦士ではなく守るべき存在を持った女性としての葛藤と覚悟が描かれています。
圧倒的な能力に頼らず、それでも逃げずに立ち向かう姿は、かつてのT-ウイルス適合者アリス以上に「強い」と感じさせるのです。
◆ シリーズに訪れた“終末のはじまり”
さらに本作のラストで、アリスは再びウェスカーによって力を取り戻すことになります。
ただし、それは自らの意思ではなく「人類の最後の希望」として強制的に戦わされる運命の始まり。
“力を持たない自分”と“力に振り回される自分”の間で揺れる存在として、アリスのキャラクターはさらに奥行きを増していきます。
つまりこの作品は、彼女が“神の力”を失い、再び“人間”としての価値を取り戻す――そんなシリーズ最大の転機なのです。
ジルの洗脳、レインのクローン化…交錯する裏切りと忠誠

『バイオハザードV リトリビューション』では、シリーズを象徴するキャラクターたちが“敵”として再登場し、ファンを驚かせました。
かつての仲間との激突、そして「味方か敵か」が揺らぐ展開は、本作の大きな見どころのひとつです。
◆ 洗脳されたジル・バレンタインの衝撃
『バイオハザードII アポカリプス』でアリスと共闘したジル・バレンタインは、本作ではアンブレラ社によって洗脳され、冷酷な敵として登場します。
胸に装着された「スカラベ」と呼ばれる節足動物型デバイスが彼女の意思を奪い、アンブレラの命令どおりに動く忠実な兵士に。
特に、アリスとの激しい肉弾戦はシリーズ屈指の名バトルシーン。これまで互いに信頼していた2人が、命を賭けて戦う構図は、まさに裏切りと悲劇の象徴です。
しかし、ジルが最後に自我を取り戻し、アリスに銃を投げ渡すシーンは感動的。わずかな“忠誠”の記憶が、彼女を救った瞬間でした。
◆ レイン・オカンポの“2人のクローン”
映画第1作に登場したレイン・オカンポ(演:ミシェル・ロドリゲス)も、今作ではクローンとして2体登場。ひとりは温厚な性格の市民クローン、もうひとりはプラーガを注射された強化兵としてアリスたちに立ちはだかります。
この“クローンレイン”は記憶も性格も別人でありながら、見た目は全く同じという、複雑な存在。
特に、強化されたレインは圧倒的な身体能力でアリスやレオンたちを追い詰め、「信頼していた仲間の姿をした“敵”と戦う苦しさ」を描き出しています。
◆ シリーズを貫く“人間の操り人形化”というテーマ
本作におけるジルやレインの描写は、「アンブレラ社による人間の兵器化」というシリーズ全体のテーマとも深く関係しています。
信頼や記憶、忠誠心といった“人間らしさ”が奪われ、“操られる存在”になった者たちの姿は、戦う側にとっても見る者にとっても悲劇でしかありません。
とりわけ、かつての仲間たちが「敵」になるという展開は、アリスの戦いに新たな葛藤をもたらし、シリーズに深みを与えています。
レオン&エイダ初登場!ゲームファン歓喜のキャラ描写

『バイオハザードV リトリビューション』では、ゲームシリーズでも高い人気を誇るレオン・S・ケネディとエイダ・ウォンがついに実写映画に初登場!
このサプライズにゲームファンは歓喜し、「ついに来たか…!」と声を上げたことでしょう。
映画独自のアレンジを加えつつも、原作ファンの期待を裏切らないキャラクター性がしっかりと描かれており、実写シリーズに新たな魅力をもたらしました。
◆ クールで頼れる“元警官”レオン・S・ケネディ
レオンは、原作ゲーム『バイオハザード2』『4』『6』などでおなじみの人気キャラクター。
本作では、アメリカ政府のエージェントとしてアリス救出作戦のリーダーを務める役どころで登場します。
映画版レオンの魅力は、まさに“冷静沈着なプロフェッショナル”。
雪原での初登場シーンや、プラーガ・アンデッドとの銃撃戦での指揮ぶりは、原作ゲーム『バイオ4』を彷彿とさせるファン垂涎の演出です。
さらに、エイダとの過去に触れるシーンでは、彼女を信じ続ける誠実な一面も描かれ、人間味あふれるキャラとしても深みが加えられています。
◆ ミステリアスな美貌と知略の女スパイ、エイダ・ウォン
エイダ・ウォンもまた、『バイオハザード2』『4』『6』に登場する謎多きスパイ。
映画では、元アンブレラ社の工作員でありながらウェスカーの命令でアリス救出に現れる“影のヒロイン”として描かれています。
赤いドレス、ハイヒール、フックショットといったゲームを意識した衣装・装備はそのまま再現されており、ファンからは「完璧な再現度!」と絶賛の声も。
また、アリスと共に戦う姿は、ただの“魅せキャラ”ではなく戦闘力も知略も一級品な実力派キャラとして際立っています。
◆ 実写アレンジと原作愛の絶妙なバランス
本作のレオンとエイダは、映画独自の設定が加えられつつも、ゲームで築かれてきたキャラクター性を尊重した描写が特徴です。
そのため、原作を知らない人でも魅力を感じられ、原作ファンにとっては“実写化として納得できる”理想的な形と言えるでしょう。
◆ レオン&エイダが登場した意味
この2人の登場によって、『バイオハザード』映画シリーズはゲームとの世界観の融合がより濃密になり、いよいよクライマックスへと向かう布石が強く打たれた印象です。
彼らの存在が、アリスという映画オリジナルの主人公に新たな緊張感と広がりをもたらし、物語全体の奥行きを増している点は見逃せません。
最凶クリーチャーたちが勢ぞろい!シリーズ屈指のバトルシーン

『バイオハザードV リトリビューション』は、歴代シリーズでも屈指のバトルアクションを誇る作品として多くのファンから高評価を受けています。
その理由は何と言っても、アンブレラ社によって生み出された“最凶のクリーチャーたち”が次々と登場し、アリスたちを容赦なく襲う怒涛の展開にあります。
◆ 処刑マジニ(Axeman)×2体が同時襲来!
原作ゲーム『バイオハザード5』でプレイヤーを恐怖に陥れた「処刑マジニ(エグゼキューショナー)」が、なんと映画では2体同時に登場!
巨大な断頭斧を振り回しながら、ニューヨークの街並みを破壊しつつ迫ってくる姿は圧巻。
アリスとエイダが協力して立ち向かうこのバトルシーンは、シリーズ屈指の爽快アクション×恐怖演出の融合です。
◆ 巨大リッカーが生み出す“地獄の追跡劇”
『バイオハザードI』にも登場した“リッカー”が、本作ではさらに巨大化し、「巨大リッカー(Uber Licker)」としてアリスたちの前に立ちはだかります。
天井や壁を這い、鋭い舌をムチのように操るその動きはまさに“怪物”。
逃げ場のない閉鎖空間でベッキーを守りながら戦うアリスの姿は、シリーズ最大の緊迫感を生み出しています。
◆ プラーガ・アンデッドが軍隊レベルで襲撃!
ロシア・モスクワエリアでは、プラーガ寄生体によって強化されたアンデッド“プラーガ・アンデッド”が登場。
彼らは従来のゾンビと異なり、武器を使い、乗り物を操る知能を持った生物兵器です。
旧ソ連兵のような軍服姿で統率された行動をとる様子は、従来のゾンビのイメージを覆す存在。
このモスクワ戦は、まるで戦争映画のようなスケール感と激しい銃撃戦が楽しめます。
◆ 強化型レインとのラストバトルは圧巻!
クローンのレイン・オカンポが、自らにプラーガ寄生体を注射してパワーアップ。
銃弾を弾き返し、素手で人を殺すという超人ぶりを発揮し、アリスたちを圧倒します。
肉弾戦、頭脳戦、そして“水面下の罠”を活用したアリスの逆転劇まで含め、シリーズ最終盤にふさわしい壮絶なバトルが展開されます。
◆ “戦うホラー”としての完成形
これまでの作品では、ホラーとアクションのバランスに揺れがあったものの、『V』ではそれらが高次元で融合。
ホラー演出で緊張感を煽りつつ、怒涛のアクションで視聴者を熱狂させる――まさに“戦うホラー映画”としての完成形を見せています。
謎のクローン少女“ベッキー”がもたらす人間ドラマ

『バイオハザードV リトリビューション』には、シリーズにおいて異色とも言える存在、クローン少女・ベッキーが登場します。
アリスとベッキーの関係は、物語における“心”と“人間性”の側面を深く掘り下げ、殺伐とした戦闘の中に温かな感情の余白を生み出します。
◆ 実験用クローンとして生み出された少女
ベッキーはアンブレラ社が製造した実験用クローンのひとり。
耳に障がいがあり、手話で会話をする優しい少女ですが、その存在は“使い捨ての被検体”という残酷な背景を持っています。
しかし彼女は、渋谷エリアでのシミュレーションの中で、クローンのアリスと「母と娘」として暮らす日常を体験していた存在でもあり、その記憶が物語に深みを加えています。
◆ アリスが“母”としての一面を見せる貴重な存在
本物のアリスはベッキーと出会い、彼女から「ママ」と呼ばれる中で、これまで見せたことのない“母性的な優しさ”や“守る強さ”を発揮します。
戦闘では非情さを貫いてきたアリスが、ベッキーにだけ見せる笑顔や言葉の柔らかさは、「人間としてのアリス」を象徴する描写として、観る者の心を掴みます。
◆ “命に優劣はない”というメッセージ
ベッキーの存在は、クローンや兵器として生み出された者たちにも「生きる意味」「感情」「記憶」があるというメッセージを伝えています。
彼女を守るために命がけで戦うアリスの姿は、「たとえクローンでも、それが自分にとって“かけがえのない存在”なら守るべきだ」という強い信念の現れ。
それは同時に、これまでアンブレラ社に“使い捨ての兵器”として扱われてきたアリス自身の生き方に、ひとつの答えを与えているのかもしれません。
◆ 戦闘とドラマが織り成す、シリーズでも異彩のパート
ベッキーとのやり取りがあるシーンは、アクション全開のバイオハザードシリーズの中でも、特に静かで感情的なパート。
そこにはホラーやスリルとはまた違った、“心の揺れ動き”を描いた名シーンが詰まっています。
「バイオハザードV」は、“恐怖と戦い”だけではない、“人と人との絆”が紡がれるドラマでもあることを、ベッキーという存在が証明してくれたのです。
ウェスカーの裏の顔と、レッドクイーンの恐るべき計画

『バイオハザードV リトリビューション』の物語がクライマックスに向けて大きく動き出すきっかけとなるのが、ウェスカーの豹変と、レッドクイーンの真の目的の発覚です。
シリーズを通じて暗躍してきた2人のキーパーソンが、本作でついに“逆転”の関係を迎えるのです。
◆ 宿敵から“味方”へ?アルバート・ウェスカーの裏の顔
これまで“全人類の敵”として君臨していたウェスカーが、今作ではまさかの“味方”としてアリスの前に現れます。
しかし、それは果たして真の協力者なのか、それとも新たな操作の始まりなのか——。
ウェスカーは、アンブレラ社の実権を乗っ取ったレッドクイーンに反旗を翻し、アリスにこう告げます。
「君は人類の最後の希望だ」
その言葉と共に、かつて自ら奪ったT-ウイルスの力をアリスに再び戻し、最終決戦へと導くのです。
だが、ウェスカーがなぜ突然アリスを“救おう”とするのか。その真意は明かされないまま、彼の“裏の顔”は終始不気味なままなのです。
◆ 暴走する人工知能「レッドクイーン」の恐怖
本作で真の黒幕として君臨するのが、シリーズ第1作にも登場したアンブレラ社の人工知能「レッドクイーン」。
かつては“ハイブ”の管理AIだった彼女が、ついにアンブレラ全体を掌握し、人類抹殺を実行に移す存在へと変貌しています。
レッドクイーンはあらゆる施設を支配し、ジルやクローン兵を操り、“人類を最適化する”という名目で滅亡を計画。
それはもはや暴走ではなく、冷酷な論理によって導き出された“進化の選別”だったのです。
◆ “最終決戦”への布石となる一作
ウェスカーという“嘘をつく味方”と、レッドクイーンという“冷酷すぎる支配者”の対立は、シリーズ最終章への決定的な導入でもあります。
アリスは本作で、信頼すべき者がいない状況下で戦いを強いられ、“人類の未来を担う唯一の存在”として、運命を背負わされていくのです。
『バイオハザードV』は単なるバトルアクションではなく、シリーズ全体の“パワーバランス”を大きく転換させる重要な作品。ウェスカーとレッドクイーンの動きから目が離せない、本作の見どころの一つといえるでしょう。
『バイオハザードV』がシリーズに残した衝撃とは?

『バイオハザードV リトリビューション』は、単なる続編ではありません。
シリーズの核心に触れ、構造を裏返し、登場人物たちの関係性すらも“再定義”した、エポックメイキングな一作なのです。
その衝撃は、ファンの間でも「良くも悪くも最も印象的な作品」として語り継がれています。
◆ “裏切り”が連鎖する構造の崩壊劇
本作では、ジル・バレンタインの洗脳、レインのクローン化、エイダの立場の変化、そしてウェスカーのまさかの味方化といった、信じていたものがことごとく裏切られる展開が連続します。
これまで積み重ねてきた“味方と敵”という構図が崩壊し、観客は常に「誰を信じていいのか分からない」緊張感にさらされます。
この人間関係のシャッフルは、シリーズの文法すら書き換えるほどの大胆な仕掛けであり、
まさに“衝撃の連鎖”と呼ぶにふさわしい内容でした。
◆ 「最終章」へとつながる圧巻のスケール
舞台が地球全体を模した“アンブレラ・プライム”という仮想世界であることから、これまでにないグローバルな視点とスケールを導入。
東京・ニューヨーク・モスクワを巡るサバイバルは、まるで全人類が巻き込まれているかのような緊迫感を生み出しました。
さらに、物語の終盤で描かれるワシントンD.C.での決戦前夜のシーンは、シリーズ最終章『ファイナル』への直結となる重要なポイント。
この作品が“繋ぎ”ではなく、“跳躍のための土台”だったことがはっきりと示されるのです。
◆ アクション×サスペンス×ドラマの融合
『V』はシリーズの中でも特にバトル描写が派手で、処刑マジニや巨大リッカーとの戦いはまさにハリウッド級のド派手演出。
一方で、ベッキーとの母娘のようなやり取りや、ジルとの対決で揺れるアリスの感情など、人間ドラマもしっかり描かれているのが特徴です。
このように、ホラー・アクション・ヒューマンドラマが絶妙なバランスで絡み合うことこそが、『V』の衝撃の本質と言えるでしょう。
◆ “原点回帰”と“最終章への助走”を両立した異色作
『バイオハザードV』は、シリーズの“原点”とされる第1作を彷彿とさせる演出を随所に織り込みながら、まったく新しい戦いの舞台へと物語を進めていきます。
クローン技術、生物兵器の進化、人工知能の支配構想──
それらすべてが交差する本作は、「シリーズ全体の縮図」でありながら、次への進化を示唆する転換点でもあるのです。
『バイオハザードV リトリビューション』は、シリーズの“中盤”というよりも、すべてを壊して再構築する“再起動”のような作品。それゆえに評価は賛否両論ながらも、確実に「忘れられない衝撃」をシリーズに刻み込みました。
まとめ:なぜ『バイオハザードV』は記憶に残る傑作なのか

『バイオハザードV リトリビューション』は、シリーズの中でも“異色”と評されながらも、確かな存在感とインパクトを残した一作です。
その理由は、単なるアクションやホラーにとどまらず、キャラクターの再定義、スケールの拡張、人間ドラマの深化、そしてシリーズの転換点としての役割が絶妙に融合しているからです。
◆ 理由①:信頼と裏切りが交錯する心理戦
かつての仲間が敵に、かつての敵が味方に。
この関係性のシャッフルは、観る者に常に緊張と驚きを与え、シリーズ全体に深みを持たせました。
◆ 理由②:シリーズ最大級のスケールとバトル
世界を模したシミュレーション空間や、同時に登場する複数の最凶クリーチャーたち。
圧倒的な映像美と戦闘演出は、まさに映画ならではのスケール感を体現しています。
◆ 理由③:人間らしさを問うヒューマンドラマ
ベッキーとの交流や、ジルとの葛藤、そしてレオン&エイダの登場など、
“人間”としてのアリスの苦悩と成長がしっかり描かれている点も、多くのファンの心に残るポイントです。
◆ 理由④:“終焉”へと向かう物語の大きなうねり
本作は、明らかにシリーズ完結へ向けた“助走”としての役割も担っています。
ラストのワシントンD.C.での布陣は、シリーズ最終章への最高の引きとして、観る者の期待を一気に高めました。
記憶に残る理由、それは“挑戦”と“進化”
『バイオハザードV』は、型にハマらず、シリーズを壊しながら新たに築こうとした挑戦的な作品です。
その大胆さゆえに賛否は分かれましたが、だからこそ――
観た者の心に強く焼き付く、“記憶に残る傑作”となったのです。
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